通信制高校・サポート校のM&Aは、近年急速に注目を集めています。2025年度には通信制高校の生徒数が初めて30万人を突破し、高校生の約10人に1人が通信制を選ぶ時代となりました。不登校支援や多様な学びへのニーズが高まる中、市場は拡大の一途をたどっています。一方で、経営者の高齢化や競争激化により、事業承継やM&Aを検討するオーナーも増加しています。本記事では、通信制高校・サポート校業界のM&A動向を、譲渡企業の視点を中心に徹底解説します。
通信制高校・サポート校業界の現状と市場動向
通信制高校・サポート校市場は、少子化の中にあっても例外的に成長を続けている教育セクターです。以下に主要な市場データと動向を整理します。
生徒数・学校数の推移
文部科学省の調査によると、2025年度(5月1日時点)の通信制高校生徒数は305,221人に達し、過去最高を更新しました。2015年度の約18万人から10年間で約1.7倍に増加しており、高校生全体に占める割合は9.6%、すなわち約10人に1人が通信制高校で学んでいます。
学校数も増加傾向にあり、2024年度には通信制高校の数が初めて300校を超え、公立79校・私立224校の計303校となりました。2025年4月には私立25校・公立4校の計29校が新規開校し、これは1年間の開校数としては過去最多です。
サポート校市場の拡大
サポート校は、通信制高校に在籍する生徒の学習や生活を支援する民間教育施設です。全国に約1,800カ所が設置されており、約4万3,000人の生徒が利用しています(2024年5月時点)。サポート校は学校教育法上の「学校」ではなく企業が運営できるため、参入障壁が比較的低く、異業種からの参入も活発です。
主要プレイヤーと市場構造
通信制高校市場の主要プレイヤーには、角川ドワンゴ学園(N高等学校・S高等学校・R高等学校、生徒数約3万人で国内最大規模)、株式会社ウィザス(第一学院高等学校を全国展開)、学校法人鹿島学園(鹿島学園高等学校)などがあります。サポート校市場では、2025年にはLITALICO(LITALICO高等学院)やベネッセコーポレーション(Be高等学院)といった大手企業が新規参入し、市場の成熟と競争激化が同時に進行しています。
通信制高校・サポート校業界でM&A・事業承継が増加している背景
通信制高校・サポート校業界におけるM&A・事業承継は、複数の構造的要因により増加傾向にあります。譲渡企業にとってM&Aが有力な選択肢となる背景を解説します。
経営者の高齢化と後継者不足
通信制高校やサポート校の中には、創業者が個人で立ち上げた小規模事業者が多数存在します。創業者世代の高齢化が進む中、教育事業特有の専門性や行政対応の複雑さから、親族内での後継者確保が困難なケースが増えています。特にサポート校は塾やフリースクールに近い事業形態のため、創業者の個人的なネットワークや教育理念に依存しているケースが多く、事業承継の難しさが顕著です。
競争環境の急激な変化
N高等学校に代表されるICT活用型の通信制高校が急成長し、従来型の通信制高校やサポート校は差別化を迫られています。2025年だけで29校が新規開校する競争環境の中、独自のカリキュラムやサポート体制を維持するには、相応の投資と経営資源が必要です。大手企業の傘下に入ることで、ICT基盤の強化やブランド力の向上を図るM&Aは、合理的な経営判断として支持されています。
規模拡大・DX推進のニーズ
通信制高校は全国から生徒を受け入れる広域通信制が主流となっており、スクーリング拠点の全国展開やオンライン学習システムの整備には多額の投資が必要です。中小規模の事業者が単独でこれらに対応することは困難であり、M&Aを通じた規模拡大やDX推進が業界全体のトレンドとなっています。
譲渡企業にとってのM&Aのメリット
M&Aにより、譲渡企業(事業オーナー)は以下のようなメリットを享受できます。創業者利益の実現による資産の確保、後継者問題の解消、従業員や生徒への教育サービスの継続的な提供、そして大手のリソースを活用した事業の発展可能性の拡大です。教育事業では生徒や保護者との信頼関係が極めて重要であり、M&Aによって安定した運営体制が確保されることは、関係者全員にとって大きな安心材料となります。
通信制高校・サポート校のM&Aにおける相場・バリュエーション
通信制高校・サポート校のM&Aにおける企業価値評価は、一般的な手法に加えて業界特有の評価ポイントがあります。適正な評価を理解することは、譲渡企業にとって有利な交渉を進める上で重要です。
一般的な評価方法
通信制高校・サポート校のバリュエーションでは、年倍法(時価純資産+営業利益の2〜5年分)やDCF法(将来キャッシュフローの割引現在価値)が用いられます。小規模事業の場合は年倍法が採用されることが多く、営業利益の3〜4年分を目安とするケースが一般的です。
業界特有の評価ポイント
通信制高校・サポート校の評価において特に重視される項目は以下の通りです。在籍生徒数と生徒1人あたりの売上単価は最も基本的な指標であり、安定した生徒数を確保している事業は高い評価を受けます。広域通信制高校としての認可(設置認可)の有無も重要で、認可取得済みの学校法人は参入障壁の高さから評価が上乗せされます。スクーリング拠点の立地と数、提携先の通信制高校との関係性(サポート校の場合)、教職員の質と定着率、不登校支援やキャリア教育など独自プログラムの有無、そしてICTシステムの整備状況も評価を左右する要素です。
通信制高校・サポート校業界のM&A事例
通信制高校・サポート校業界では、大手企業による参入や事業再編のためのM&Aが複数実施されています。以下に代表的な事例を紹介します。
角川ドワンゴ学園によるN高等学校の設立と拡大
2016年、KADOKAWAとドワンゴが共同で学校法人角川ドワンゴ学園を設立し、N高等学校を開校しました。ICTを全面的に活用した革新的な通信制高校として注目を集め、2021年にはS高等学校、2025年にはR高等学校を開校。2024年9月時点で在籍生徒数は約3万人を超え、日本最大規模の高校となりました。異業種の大手企業が教育分野に本格参入した象徴的な事例です。
株式会社ウィザスの通信制高校事業拡大
学習塾「第一ゼミナール」を運営するウィザスは、通信制高校「第一学院高等学校」を全国展開しています。ウィザスグループは複数のM&Aを通じて事業を拡大しており、佑学社、レビックグローバル、学習受験社、エヌ・アイ・エスなどを連結子会社化してきました。学習塾事業と通信制高校事業のシナジーを活かしたグループ経営は、教育業界のM&A戦略の好例です。
LITALICOによるサポート校市場への参入
障害福祉サービスを展開するLITALICOは、2025年4月に通信制高校サポート校「LITALICO高等学院」を東京都渋谷区に開校しました。鹿島山北高等学校・鹿島学園高等学校と提携し、発達障害のある生徒への専門的な支援を提供しています。福祉分野からの参入事例として、既存の専門性を教育市場に活かすM&A・事業展開のモデルケースとなっています。同様に、ベネッセコーポレーションも2025年4月にサポート校「Be高等学院」を開校し、大手教育企業の参入が相次いでいます。
通信制高校・サポート校のM&Aを成功させるためのポイント
通信制高校・サポート校のM&Aを円滑に進め、成功に導くためには、業界特有の留意点を押さえることが重要です。譲渡企業が事前に準備すべき事項を中心に解説します。
デューデリジェンスの重要項目
通信制高校のM&Aでは、通常の財務・法務デューデリジェンスに加え、以下の項目が重要となります。設置認可の状況と監督官庁との関係、生徒の在籍状況と退学率の推移、教職員の雇用契約と資格保有状況、スクーリング施設の賃貸借契約や耐震状況、そして文部科学省による広域通信制高校の質保証に関するガイドラインへの適合状況です。サポート校の場合は、提携先通信制高校との契約内容と継続性が特に重要な確認事項となります。
譲渡企業が準備すべきこと
M&Aを有利に進めるために、譲渡企業は以下の準備を進めることが推奨されます。過去3〜5年分の財務諸表の整備と収益構造の明確化、生徒募集・在籍に関するデータの整理、教職員名簿と雇用条件の整理、カリキュラムや教育プログラムの文書化、そして事業の属人性を排除するためのマニュアルや業務フロー整備です。
従業員・生徒への配慮
教育事業のM&Aにおいて最も重要なのは、生徒・保護者・教職員への配慮です。M&Aの発表時期や方法、教育方針の継続性の保証、教職員の雇用条件の維持などを買い手と事前に合意しておくことが、円滑な事業承継の鍵となります。特に通信制高校では、生徒一人ひとりへの細やかな対応が信頼の基盤となっているため、担当教員の継続配置は重要な交渉ポイントです。
通信制高校・サポート校のM&A・事業承継なら教育業界M&A総合センターへ
通信制高校・サポート校のM&A・事業承継をお考えなら、教育業界M&A総合センターにご相談ください。当センターは教育業界に特化したM&A仲介サービスを提供しており、通信制高校・サポート校業界の特性を深く理解した専門アドバイザーが、最適なマッチングをサポートします。
当センターの特長は以下の通りです。教育業界に特化した専門性により、設置認可や教育行政に関する知見を活かしたアドバイスが可能です。譲渡企業手数料は完全無料で、譲渡をお考えのオーナー様の費用負担はありません。秘密保持を徹底し、生徒・保護者・教職員への影響を最小限に抑えながらプロセスを進めます。
まずは無料相談からお気軽にお問い合わせください。
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通信制高校・サポート校のM&Aに関するよくある質問(FAQ)
Q. 通信制高校・サポート校の売却にかかる費用はどのくらいですか?
A. 教育業界M&A総合センターでは、譲渡企業様の手数料は完全無料です。一般的なM&A仲介では譲渡対価の5%前後の仲介手数料が発生しますが、当センターでは譲渡企業様の負担をなくすことで、事業承継を検討しやすい環境を提供しています。
Q. M&Aの検討から完了までどのくらいの期間がかかりますか?
A. 通信制高校・サポート校のM&Aは、一般的に6か月〜1年程度を要します。設置認可の変更手続きや監督官庁への届出が必要な場合はさらに時間がかかることがあります。サポート校(民間事業)の場合は、株式譲渡であれば3〜6か月程度で完了するケースもあります。
Q. 生徒や保護者にM&Aの事実はいつ知らされますか?
A. 原則として、M&A契約が正式に締結されるまでは秘密保持が徹底されます。契約締結後、適切なタイミングで生徒・保護者・教職員に対して説明が行われます。教育方針や教職員体制の継続性について事前に買い手と合意しておくことで、関係者の不安を最小限に抑えることが可能です。
Q. 教職員の雇用は維持されますか?
A. 多くのM&A案件では、既存の教職員の雇用条件を維持することがM&A契約の条件として盛り込まれます。特に通信制高校では、生徒との信頼関係を築いている教員の継続勤務は事業価値の維持に直結するため、買い手側も雇用維持を重視する傾向にあります。
Q. 学校法人ではなくサポート校(株式会社運営)でもM&Aは可能ですか?
A. はい、可能です。サポート校は株式会社やNPO法人が運営しているケースが多く、株式譲渡や事業譲渡といった一般的なM&Aスキームを活用できます。学校法人の場合は合併や設置者変更の手続きが必要となりますが、いずれの形態でもM&Aは実施可能です。
