ドローンスクール(無人航空機の操縦教育・訓練を行う登録講習機関)は、2022年12月の国家資格制度の開始を契機に急速に市場が拡大している成長分野です。一方で、スクール数の急増による競争激化や経営者の高齢化を背景に、ドローンスクール業界ではM&A・事業承継のニーズが高まっています。本記事では、ドローンスクールにおけるM&Aの背景・現状・事例について、譲渡企業(事業オーナー)の視点を中心に徹底解説します。

ドローンスクール業界の現状と市場動向

ドローンスクール業界は、国家資格制度の導入により大きな転換期を迎えています。インプレス総合研究所の調査によると、国内ドローンビジネス全体の市場規模は2024年度に4,371億円(前年比13.4%増)に達し、2030年度には1兆195億円に成長する見通しです。

ドローンスクール(登録講習機関)の数は、2024年10月時点で全国に約566機関が登録されています。国家資格制度の開始前は民間資格のみだったドローン教育市場に、国が認定する講習機関としての枠組みが整備されたことで、新規参入が相次ぎました。国家資格保有者数は二等資格で毎月約1,250人、一等資格で毎月約130人のペースで増加しており、教育需要は堅調です。

しかし、スクール数の急増は競争の激化をもたらしています。特に都市部では複数のスクールが受講生を奪い合う状況が生まれており、価格競争や差別化が課題となっています。また、ドローンの活用分野が点検・測量・農業・物流・防災など多岐にわたるため、スクールには操縦技術だけでなく産業応用の実践的な教育が求められるようになっています。

ドローンスクール業界でM&A・事業承継が増加している背景

ドローンスクール業界においてM&A・事業承継が活発化している背景には、以下の要因があります。

経営者の高齢化と後継者不足

ドローンスクールは比較的新しい業態ですが、自動車教習所やパイロットスクールなど既存の教育事業者がドローン部門を開設したケースも多く、母体企業の経営者が高齢化し後継者がいないという問題を抱えています。中小企業庁のデータでは、2025年までに約245万人の中小企業経営者が70歳以上に達するとされており、ドローンスクールを運営する中小事業者も例外ではありません。

競争環境の変化と淘汰の加速

国家資格制度の開始により登録講習機関が急増しましたが、今後は受講生の獲得力や教育品質で差がつき、淘汰が進むと予想されます。単独での経営が困難になった小規模スクールが、大手や異業種企業に事業を譲渡するケースが増えています。

規模拡大・事業多角化のニーズ

買い手側では、自動車教習所が新たな収益源としてドローン教習事業を取り込む動きや、IT企業がドローンサービスと教育事業を一体化させる戦略的買収が活発です。自動車教習所のM&Aでも、ドローン教習の併設を目的とした案件が増加しています。

譲渡企業側のメリット

ドローンスクールの譲渡企業にとっては、事業の継続性が確保できること、従業員やインストラクターの雇用が守られること、そして創業者利益を得られることが大きなメリットです。特に、個人経営や小規模法人で運営されているスクールでは、大手グループの傘下に入ることで経営基盤が安定し、最新の機材や教材の導入も容易になります。

ドローンスクールのM&Aにおける相場・バリュエーション

ドローンスクールのM&Aにおける企業価値評価では、年倍法(時価純資産+営業利益の2〜4年分)やDCF法(将来キャッシュフローの割引現在価値)が一般的に用いられます。

ドローンスクール特有の評価ポイントとしては、以下の要素が重要です。

第一に、登録講習機関としての認定状況です。国土交通省から一等・二等の登録講習機関として認定されているかどうかで、事業価値は大きく変わります。第二に、年間受講生数と修了実績です。安定した集客力は収益の予測可能性を高め、評価額を押し上げます。第三に、インストラクターの質と定着率です。国家資格の実地試験を担当できる技能証明を持つインストラクターは貴重な人材であり、その在籍状況が評価に影響します。

このほか、練習場(飛行フィールド)の確保状況、使用機材の種類と数量、法人契約の有無、地域における知名度なども評価のポイントとなります。小規模なスクールでは数百万円〜数千万円、複数拠点を持つ中規模スクールでは数千万円〜数億円が相場の目安です。

ドローンスクール業界のM&A事例

ドローンスクール業界では、近年いくつかの注目すべきM&A事例が公表されています。

ジョルダンによるエアーズの買収(2025年)

乗換案内サービスで知られるジョルダン株式会社は、ドローンスクールのフランチャイズ展開やドローン関連ソリューション提供を行う株式会社エアーズの株式を取得し、子会社化しました。ジョルダンはMaaS(Mobility as a Service)事業との相乗効果を狙い、ドローンを活用した新たな移動・物流サービスの構築を目指しています。

フォーラムエイトによるドローンスクール大阪なんばの事業譲受(2024年12月)

VR・シミュレーション技術を強みとする株式会社フォーラムエイトは、株式会社オーティーシーから「ドローンスクール大阪なんば」の事業を譲り受けました。同スクールはドローン操縦士回転翼3級の資格が最短3日で取得でき、国家二等資格講習にも対応しています。フォーラムエイトは自社のVR技術とドローン教育を融合させ、より高度な訓練プログラムの開発を進めています。

DRONE PILOT AGENCYと電子公園グループの資本業務提携

ドローンパイロットの人材サービスを展開するDRONE PILOT AGENCYは、ドローンスクール運営を行う電子公園グループと資本業務提携を締結しました。この提携により、パイロット養成から人材派遣までを一貫して提供する体制が構築され、教育と実務の連携が強化されています。ロボット教室のM&Aと同様に、テクノロジー教育分野全体でこうした業界再編の動きが活発化しています。

ドローンスクールのM&Aを成功させるためのポイント

ドローンスクールのM&Aを成功に導くためには、以下の点に留意する必要があります。

デューデリジェンスの重要項目

登録講習機関としての認定要件の充足状況、インストラクターの資格・雇用契約、飛行フィールドの賃貸契約や使用許可の状況、機材の所有権とリース契約、受講生データの管理状況など、ドローンスクール特有の確認事項があります。また、航空法をはじめとする法規制への適合状況も重要なチェックポイントです。

譲渡企業が準備すべきこと

事業譲渡を検討するスクールオーナーは、財務諸表の整理に加え、受講生数の推移データ、修了者の合格率、リピート率(上位資格への進級率)などの実績データを整備しておくことが重要です。また、インストラクターとの雇用契約や業務委託契約の内容を明確にし、譲渡後も人材が定着する体制を整えておくことが、事業価値の向上につながります。

従業員・受講生への配慮

M&A後の運営体制についてインストラクターや事務スタッフに丁寧に説明し、不安を解消することが事業の円滑な引き継ぎにつながります。受講中の生徒に対しても、カリキュラムの継続性を保証することが信頼維持のために不可欠です。科学実験教室のM&Aなどの教育事業全般に共通するポイントです。

ドローンスクールのM&A・事業承継なら教育業界M&A総合センターへ

教育業界M&A総合センターは、教育業界に特化したM&A仲介サービスを提供しています。ドローンスクールを含む教育事業のM&Aに精通した専門アドバイザーが、譲渡企業オーナーの立場に寄り添いながら最適な譲渡先のマッチングを行います。

当センターの特長は、譲渡企業様の仲介手数料が完全無料であることです。譲渡を検討し始めた段階から成約に至るまで、譲渡企業様に費用負担は一切発生しません。また、秘密保持を徹底しており、従業員・受講生・取引先に情報が漏れることなく、安心してM&Aのプロセスを進めていただけます。

「まだ売却を決めたわけではないが、自分のスクールにどれくらいの価値があるのか知りたい」という段階でも、無料でご相談いただけます。まずはお気軽にお電話ください。

お問い合わせ先:教育業界M&A総合センター
電話番号:03-4560-0084

よくある質問(FAQ)

Q. ドローンスクールの売却にはどれくらいの費用がかかりますか?

A. 教育業界M&A総合センターでは、譲渡企業様の仲介手数料は完全無料です。譲渡に関する相談から成約まで、譲渡企業側に費用は一切かかりません。

Q. M&Aの完了までにどれくらいの期間がかかりますか?

A. 案件の規模や条件によりますが、一般的には相談開始から成約まで6か月〜1年程度です。事前に財務資料や受講生データを整備しておくと、プロセスがスムーズに進みます。

Q. 従業員やインストラクターの雇用は守られますか?

A. M&Aの交渉において従業員の雇用継続は重要な条件として扱われます。多くの場合、買い手企業はインストラクターの技術力を事業の核心的価値と認識しており、雇用条件の維持・改善が図られます。

Q. 登録講習機関の認定はM&A後も引き継げますか?

A. スキームによって異なります。株式譲渡の場合は法人格が変わらないため認定はそのまま継続されます。事業譲渡の場合は、買い手側で改めて登録講習機関としての申請が必要となるケースがあります。当センターの専門アドバイザーが最適なスキームをご提案します。

Q. 相談したことが従業員や受講生に知られることはありますか?

A. 秘密保持を徹底しております。ご相談内容や検討状況が外部に漏れることは一切ありません。NDA(秘密保持契約)を締結した上で、慎重にプロセスを進めます。