教材会社・教育コンテンツ会社のM&Aでは、売上高だけでなく、何を誰に販売し、どの権利と制作体制で提供を続けているかを確認します。同じ売上でも、教材の販売、利用許諾、制作受託では、継続性や引継ぎに必要な資料が異なります。

収益を商品・契約・顧客ごとに分ける

直近の年度と月別実績を、商品別・契約別・顧客別に整理します。売上だけでなく、印刷、仕入れ、配送、制作外注、配信基盤、販売に伴う手数料などの費用も対応させます。学校の採用時期や改訂時期による増減は、単発案件と継続案件を分けて説明しましょう。

収益の種類と、引継ぎ前に確認する資料
収益の種類 確認資料 比較する観点
紙教材の販売 商品別売上・原価、採用校、返品、在庫一覧 再採用の状況、返品後の利益、旧版在庫と改訂費用
教材の利用許諾 契約書、更新実績、利用範囲、請求記録 更新・解約条件、顧客集中、承継時に必要な確認
制作受託 案件別損益、発注書、納期、検収・修正記録 継続発注、追加修正の負担、担当者への依存
デジタル教材 契約数、利用記録、解約、運用費、障害対応記録 契約と実利用の差、保守負担、提供環境の引継ぎ

教材を使い続ける権利を、作品単位で確認する

問題文、図版、写真、音声、動画、ソフトウェアごとに、制作元、契約の相手、利用範囲、期間、改訂・再配信の条件を一覧にします。自社制作でも、執筆者や外注先との契約を確認してください。第三者の素材を含む教材は、教材全体の所有とは分けて扱います。

契約書が見つからない素材や利用条件が不明な箇所は、未確認事項として残します。譲渡後も利用できるか、追加の合意が必要かは、契約ごとに確認します。詳しくは教材・カリキュラムの権利確認も参照してください。

制作・改訂を、担当者が交代しても続けられるか

企画、執筆、校閲、組版、入稿、配信、問い合わせ対応の工程と担当者を整理します。編集データの保存先、版の管理、校正基準、外注先との連絡方法も引継ぎ資料に含めます。特定の編集者だけが仕様を知る場合は、退任後の体制と必要費用を確認しましょう。

学習指導要領や試験制度への対応、毎年の改訂、誤植修正について、予定と実績を分けて示します。売上に寄与した新教材だけでなく、既存教材を維持する作業量も把握します。

顧客契約と提供環境の引継ぎをつなぐ

学校、塾、販売代理店、配信先ごとの契約一覧を作り、契約期間、更新、解約、納品、返品、保守、担当窓口を確認します。大口顧客への依存や販売代理店経由の売上は、顧客との関係を誰が維持しているかまで整理してください。

デジタル教材では、ドメイン、配信システム、外部サービス、管理者権限、データの保存先を棚卸しします。教材の権利確認とシステムの移管確認を、同じ項目で済ませないことが大切です。

よくある質問

教材の在庫が多ければ、評価も高くなりますか。

数量だけでは判断できません。販売見込み、返品、旧版化、保管・処分費用を商品ごとに確認し、使える在庫と更新が必要な在庫を分けます。

執筆者や編集者の継続は、最初に確認すべきですか。

主要な制作工程を担う人について、担当業務、契約、継続意向、代替体制を早めに整理します。未確認の継続意向を、確定事項として説明しないようにします。

資料準備はデューデリジェンスで準備する資料、教材の整理は教材IP・学習コンテンツの確認も参考にしてください。